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ガラスだまは旅を続けながら、自分の手作りの宝石箱に入ってくれた宝石たちを眺めました。
だいぶ増えた宝石箱の宝石を満足げに眺めて、ふと視線を上げるとある宝石が目に入りました。
その薄緑の綺麗な宝石は、おろおろと辺りを彷徨っていました。
ガラスだまは不思議に思い、その宝石に声をかけます。
「どうしたの?」
その言葉に、はっ、と振り返った宝石は、ガラスだまの様子をうかがいつつ、こう言いました。
「探し物を……しているのです」
どこか不安げにおどおどとしつつ、それでもガラスだまに続けて言います。
「大切な大切な、私の……」
そう言いさした時、宝石はガラスだまの持っている宝石箱に気がつきます。
それを見た宝石は慌てて、
「あの!その宝石箱の中身を見せてはいただけませんか!?」
いきなり勢いを増した宝石の言葉に、今度はガラスだまがビックリしつつ、
「もちろんいいよ」
そう言って大切な宝石箱を開けて、宝石の目の前に差し出しました。
その宝石は、食い入るように宝石箱の宝石をひとつひとつ見つめ……しかし、
「ありがとうございました」
そう言って溜息をつきました。
その様子から、探し物が見つからなかったのが、ガラスだまにも見てとれました。
薄緑の宝石は、またおどおどと不安げに辺りを見回し始めます。
ガラスだまもどうしてよいのやら……と、悩んだ末に、その宝石に声をかけました。
「君は探し物をしているんだよね?」
その言葉に、薄緑の宝石はこくりとうなずきます。
「僕も宝石を探しながら旅をしているんだ。
よかったらこの宝石箱に入って、一緒に探し物を探そうよ」
そう言われた薄緑の宝石は、ビックリしたような顔をします。
そして辺りを見回し、自分の探し物がこの辺りにはない事を確認し、それでも悩んだ末に……
「よろしくお願いします」
そう言って、ガラスだまの宝石箱の中に納まりました。
妙な縁もあるものだ、とガラスだまは思いつつ、宝石箱に収まったその薄緑の宝石を見つめます。
しかしその宝石は、見れば見るほど美しい宝石でした。
ひょんなことから手に入ったその宝石……しかしまたひとつ増えた自分の宝物を、ガラスだまは大切に大切に抱えるのでした。
でも……その宝石との出会いから、ガラスだまは何か奇妙な予感がするようになります。
もしかしたらこの先、とても素敵な事が起こるのではないか、というような、奇妙な予感が……。
ある日、がらすだまは海辺を歩いておりました。
寄せては返す青い海の波打ち際……そこにつやりと光る、白い物を見つけました。
真っ白というよりは、少しだけ淡い桃色を含んだ様な、艶艶と輝くその宝石。
がらすだまは一瞬で心を奪われました。
しかしがらすだまは迷います。
まだまだ続く海岸線……この先を歩いて行けば、もっと素敵な出会いがあるかもしれない、と。
そう思い、がらすだまは迷いながらもその場を離れ、先に歩き出しました。
しかし、いくら先に進んでも、頭に浮かぶのは先程の白い艶やかな宝石。
その内にがらすだまは不安になってきました。
あの宝石がいたのは、波が打ち寄せる波打ち際。
もしかしたら、波にさらわれて、海にかえってしまうのではないか、と。
そう思い付くと、がらすだまは居ても立ってもいられず、先程の場所まで、全力で走って戻りました。
その宝石のいたと頃まで戻ってみると、白い宝石は波をかぶりながらも、まだ砂浜でつやつやと輝いておりました。
がらすだまは慌てて駆け寄り、その宝石に声を掛けます。
「ぼっ、僕の宝石箱に入ってください!」
息を切らしながら、大声でそう声を掛けられた白い宝石は驚きに目を見張ります。
そしてその後、差し出された不格好な宝石箱をじっと見つめ、次にがらすだまをじっと見つめます。
そして名残惜しげに青い海をしばらく見つめ、最後にもう一度がらすだまの目をじっと見つめました。
がらすだまはドキドキしながら、白い宝石を見つめ返します。
すると白い宝石は、青い海を振り返る事なく、静かに宝石箱に入りました。
がらすだまは喜びに打ち震え、ひとつ、新たな宝物が増えた宝石箱を、抱き締めたのでした。
ずっとずっと探し続けて、求め続けて、それでも手に入れることは難しいだろうと思われる、高嶺の花のその宝石。
ガラスだまの元にあるのは、その宝石の写真のみ。
毎日飽かずに眺めては溜息をおとします。
……もしもこの宝石が手に入ったなら、と。
ある時、思わぬ事にその宝石と出会う機会を得ます。
しかし視界に入るその宝石を食い入るように見つつ、ガラスだまは悩みます。
果たしてその宝石を手にするだけの値が、自分にはあるのだろうか、と。
ガラスだまの手には、手作りの不恰好な宝石箱。
どう考えても、あの宝石にこの宝石箱は不釣合いです。
声をかけても断られるのが関の山。
でも……と悩むうちに、その宝石が視界から消えそうになります。
「待って!!!」
……と、ガラスだまは思わず声を張り上げていました。
その宝石はガラスだまの声に振り返ります。
声をかけたほうのガラスだまは、どうしてよいのか分からず、ただあたふたとするばかり。
その宝石はガラスだまのほうに歩み寄ってきました。
ガラスだまはどうしてよいか分からず、もうやぶれかぶれで自分の手の中にある宝石箱をさしだし、
「ぼ、僕の宝石箱に入ってもらえませんか!?」
そう勢いよく尋ねました。
ダメだろう……ガラスだまはそう思っていました。
この宝石に出会えたチャンスに声をかけられた、それだけで満足しよう、とガラスだまが覚悟を決めていると……。
その宝石はガラスだまの差し出す宝石箱を見て、ふっと微笑みます。
不器用ながら必死に思いをこめて作った宝石箱……その宝石は宝石箱から、ガラスだまの必死の思いを感じ取ったようです。
その宝石は、清廉な笑みをガラスだまに見せると、スッと宝石箱の中に入っていきました。
ガラスだまは信じられない心地でその様子を見ていました。
しばらく呆然とした後、宝石箱を覗き込むと、憧れていた、とろけるような色合いの宝石が、宝石箱の中に納まっていました。
何度も目をこすって宝石箱を見直して、やっとやっとガラスだまは実感します。
……ああ、僕はついに憧れの宝石を手に入れることが出来たのだ……と。
待ち続ければ……願い続ければ、ひょんな偶然から、願いが叶う事もあるのだと。
喜びを噛み締めながら、ガラスだまはそう思ったのでした。
青い宝石を捜し歩いていたあの時すれ違った、可愛い可愛いあめ色の宝石。
当時は青い宝石に夢中で声をかけることなど出来なかったけれど、今思えば、とてもとても可愛かったのです。
今更後悔しても遅いけど……そうガラスだまは思います。
でもいつか……いつかまたあの宝石に出会えたならば、絶対に声をかけるんだ!と、詮無い願いと思いつつも、ガラスだまは決意をしておりました。
しかし……その時は唐突にやってきました。
旅を続けていたガラスだまの前に、いつか見たあの宝石がひょっこりと現れたのです。
ガラスだまは急いで駆け出し、そのあめ色の宝石に向かって勢い良く声をかけます。
「ねえ君!僕の宝石箱に入ってくれない!?」
あめ色の宝石は、自分にぶつからんばかりに駆け寄り、息も切れ切れにそう言ったガラスだまを見て、驚いた顔をします。
ガラスだまの手には、手作りの不恰好な宝石箱。
あめ色の宝石は中を覗き込むと、嬉しそうに微笑みます。
どうやら箱の出来不出来よりも、中に入っている宝石たちに興味を示したようです。
そしてあめ色の宝石は、ガラスだまに向かって頷いてみせると、ゆったりと宝石箱の中に入りました。
ガラスだまは息を整え、改めて自分の宝石箱の中を覗き込みます。
そこには間違いなく、あの日見たあめ色の宝石が入っておりました。
それを見て、ガラスだまは嬉しそうに笑います。
そして、あきらめずにいてよかった、と心底思ったのでした。
様々な宝石を目にする中、ガラスだまは、そう思うようになりました。
青い宝石といっても、色々あります。
ガラスだまは、いろいろ探し回り、青い宝石の鉱脈を見つけました。
その青い宝石の鉱脈で見つける青い宝石のうち、ひとつを宝石箱に入れようと心に決めます。
青い宝石の鉱脈へ行っては、この子がいいか、あの子がいいか、と悩みます。
ある日、いつものように青い宝石の鉱脈へ行き、ふと、いつもの場所と違った場所に向かってみました。
すると、そこで運命の出会いをするのです。
崖の上に、ひときわ輝く青い宝石を見つけました。
しかし崖の上まで行くのは至難の業。
ガラスだまは悩みました。
ガラスだまは運動が苦手で、崖を上るのは、ガラスだまにとっては、とても危険な事なのです。
それに、ここから見ると綺麗だけれど、一生懸命崖を上って、近くで見てみたら好みの宝石ではないかもしれない。
ガラスだまは崖の下でしばし考えます。
楽に手に入る、好みの青い宝石。
崖の上の、なかなか得がたいと思われる、青い宝石。
ガラスだまは悩みに悩み、けれども意を決し、崖を上ってみる事にしました。
必死で崖を登り続け、やっとその青い宝石の元にたどり着きました。
目にした宝石は……今まで見たどの青い宝石よりも、輝いて、綺麗な宝石でした。
息を切らせながら、ガラスだまはその青い宝石に声をかけます。
「ねえ、君。僕の宝石箱に入ってくれない?」
そういってガラスだまは、手作りの不恰好な宝石箱を差し出します。
青い宝石は、その宝石箱をみて、ふわり、と微笑みました。
どうやら不恰好なりにガラスだまが必死で作った事、そしてその手作りのあたたかみを気に入ったようです。
青い宝石はガラスだまに、にっこりと微笑むと、すぐに宝石箱に入りました。
ガラスだまは喜び、いそいそと崖を下り、改めて宝石箱の中の青い宝石を眺めます。
やはり綺麗で、とても得がたい宝石。
ガラスだまはうっとりと青い宝石を眺めながら思うのです。
どんなに苦手でも、頑張った分、喜びは積もるものだ、と。
< おめでとう、瑠璃。 ありがとう、瑠璃。 >
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